ウオロェデョイ埠頭

lo vrici selciska be la .xopukas.

マイクラのイスクイル3版が見たい・第2報

 

 Attalönt! (再びこんにちは!)

 諸事情があって前報から20日間も日が開いてしまいましたが、私は諦めていませんよ。ということで第2報です。

1  文字列に連番を振ろう

 翻訳の続きをする前に、スプシに修正すべきところがあります。

 これまで文字列の番号を「作業」シートの行番号で呼んでいましたが、これでは2から始まって気持ち悪いので、1始まりに直します。といっても1列目を削除するわけにもいかないので、番号用の列を新設することにします。現在の A 列の左に1列挿入して、新しい A2 セルに「=sequence(6538)」と入れると1から6538までの番号がずばーっと順に出力されます。一撃必殺だぜ。*1,1))))」は A1 セルの内容を1文字ずつに分けてくれます。」

 これで列が1つ増えたので、今は ID が B列、日本語訳が C 列、修飾部が D 列、被修飾部が E 列になりました。今のシートはこんな感じになっています。

番号を付けた後の「作業」シート

 前報で訳したものの番号も修正します。以下のようになります。

#4  heixtàwîl「完了」addServer.add
#500  ňčʰwapʰaló「竹」block.minecraft.bamboo
#501  ct'al ňčʰwapʰioló「竹ブロック」block.minecraft.bamboo_block
#1244  umxhál ulté'šk「本棚」block.minecraft.bookshelf
#1465  amtʰal「土」block.minecraft.dirt
#1466  ekas amtʰiasülf「土の道」block.minecraft.dirt_path
#1498  ek'ás「炎」block.minecraft.fire
#1511  âčp'al「ガラス」block.minecraft.glass
#1605  špalíupš「レバー」block.minecraft.lever
#1721  ošpalirčiupš orţniól「オークのボタン」block.minecraft.oak_button

2  翻訳作業

 まず前報の修正が2か所あります。*2

  1. 文法書第4章5節 の公式例語 uçtál opʰiol を受けて、#1721「オークのボタン」を ošpalirčiupš orţniól → ošpalirčiupš orţniol と修正します。orţniól では FML の持つ「木製品」と CPS 格の「~製の」で意味が二重になってしまうためです。
  2.  #500「竹」ňčʰwapʰaló → ňčʰwapʰaluttái、#501「竹ブロック」ct'al ňčʰwapʰioló → ct'al ňčʰwapʰioluttái と修正します。同格の役割を持つ Cx が取るのは SCH format よりも ESS case の方が意味的に自然であり、イスクイル4の学習者が同様の表現を多く用いているためです。

2.1  木材・木製品

 第1報 で ošpalirčiupš orţniól「オークのボタン」を造語したので、これと同じ「[木材名] の [ブロック・アイテム名]」の形のものを一気に造語してしまいましょう。

 

 まずはブロック・アイテム名の部分から。

 「ボタン」「レバー」は訳してあるので、残りは「ドア」「トラップドア」「フェンス」「フェンスゲート」「葉」「原木」「木」「樹皮を剥いだ原木」「板材」「感圧板」「苗木」「ハーフブロック」「階段」「看板」「吊り看板」「壁に付けられた看板」「壁に付けられた吊り看板」の17個です。

 形状・挙動・用途などのうちどれに焦点を当てるかで悩むものもありますが、とりあえず直感に頼って造語してみます。

  • âč'âţmalaù「ドア」(出入口のための板) *3
  • kdamxhaloptaú「トラップドア」(捕獲のための偽の床) *4
  • uţmaçtaláuk「フェンス」(棒状のものを使った壁) *5
  • eč'ál uţmaçte'rļáuk「フェンスゲート」(フェンスの関門) *6
  • epʰaňš「葉」(葉の塊) *7
  • opʰas「原木」(木の幹の一部) *8
  • opʰas ukfoutļaln「木」(硬化した表皮で覆われた原木) *9
  • opʰas ukfëus「樹皮を剥いだ原木」(硬化した表皮のない原木) *10
  • act'ál「板材」(中空のキューブ) *11
  • edyauçtalék「感圧板」(センサー床) *12
  • pʰalepʰ「苗木」(若い木)
  • aksuct'aló「ハーフブロック」(中空の1/2キューブ) *13
  • etnaňš「階段」(階段の一部) *14
  • êltoļmalaù「看板」(記述のための板)
  • êltoļmalaù uxhtʰaxpourļo「吊り看板」(鉄鎖付きの看板) *15
  • êltoļmalaù çtâ’ùsök「壁に付けられた看板」(壁にある看板)
  • êltoļmalaù uxhtʰaxpourļo çtâ’ùsök「壁に付けられた吊り看板」(壁にある鉄鎖付きの看板)

 さて、Minecraft ver1.20 では木に類するものとして「オーク」「トウヒ」「シラカバ」「ジャングル」「アカシア」「ダークオーク」「マングローブ「桜」「竹」、それと巨大化した「真紅のキノコ」「歪んだキノコ」の計11個があります。

 この中で初歩的なものは「オーク」「トウヒ」「シラカバ」「桜」です。これらは -pʰ- の活用を踏襲した固有の語根 -rţn-, -ršp-, -rţk-, -nç- を持っているため、P2S1/IFL で「~の木(wood)」を表せます。これに CPS 格とデフォルトの Ca 接辞を与えれば、orţniol「オークの」のようになります。これと複合語根とか carrier とかを使って下の11語を訳します。

  • orţniol「オークの」
  • oršpiol「トウヒの」
  • orţkiol「シラカバの」
  • opʰiol pʰaems「ジャングルの」(ジャングルで採れた木の)
  • opupʰioluttai Akakia「アカシアの」 *16
  • olxhairţniolo「ダークオーク(=濃い茶色のオーク) の」
  • opʰiol pʰaemss klüat’önļá「マングローブの」(河口部の(相互依存的な)ジャングルで採れた木の)
  • oňčʰwapʰioluttai「竹の」*17
  • onçiol「桜の」
  • îxt'aicniolöküxešo「真紅の」(暗い赤の巨大なキノコの"幹"部分の)
  • îtļaicniolöküxešo「歪んだ」(歪んだ巨大なキノコの"幹"部分の)

 はい。あとはこれらを組み合わせて作業シートに反映させるだけです。

 ほとんどの対象ブロック名は都合の良い位置で D, E 列に区切られていますが、D 列「壁に掛けられた○○(木材名)の」・E 列「[看板/吊り看板]」となっている箇所だけは「○○の」「壁に掛けられた[看板/吊り看板]」に修正する必要があります。F, G 列で regexreplace を使って適当に処理して D, E 列に「値のみペースト」してやるだけでいいですね。*18

 新しく「構成要素」シートを作ってA列に日本語、B列に椅3訳を並べて書き、VLOOKUP 関数でアレをアレします。(もう全ての変更について詳細に書くのが面倒になってしまいました)

 ついでに列を整理しました。整理後のシートはこんな感じです:

A列:番号
B列:ID
C列:日本語
D列:日本語の「Aの」部分(「オークの」);「の」で分かれない場合は空欄
E列:日本語の「B」部分(「感圧板」);「の」で分かれない場合はC列のコピー
F列:最終的な椅3訳;K列の(K列が空欄ならJ列の)コピー
G列:翻訳の進捗;未着手=0, 一部翻訳済=1, 翻訳済=2
H列:イスクイルの前部要素;E列の内容を「構成要素」シートからVLOOKUPで検索
I列:イスクイルの後部要素;D列の内容を「構成要素」シートからVLOOKUPで検索
J列:"H列 (半角空白) I列";欠けた部分は "_" で置換
K列:個別のイスクイル訳;J列の合成結果に問題がある場合に代用する

 で、私はこれから ①構成要素を訳してH列とI列を埋めてJ列の結果を表示させる、② それに問題があればK列に直接翻訳結果を書きこむ、の2つを行えばいいわけです。なお、D列とE列はすでに計算結果を「値のみペースト」されて文字列データが直接入った状態になっているため調整ができます。*19

 作業シートの該当箇所はこんな感じになりました。

「作業」シートの該当部分。木材系が一気に埋まった

 今回で161個のブロック名が新たに翻訳されました。計6538個のうち171個が完了していて、残りは6367個ですね。お疲れさまでした。

 ではでは、Attàlûk~

2024.1.28

 

 以下、脚注

*1:SEQUENCE 関数…… 等差数列を配列の形で出力するのに使う関数です。今回のように番号を振るのにも使いますが、第1報 で登場した ARRAYFORMULA 関数と合わせて配列数式内で使うと有能さが爆増します。例えば「=arrayformula(mid(A1,sequence(len(A1

*2:「前報の修正」…… 語の一部をこねている間にこれまで確定した文法範疇が頭から溢れて変なミスをしたり、後になって微妙に認識が違うことが判明したりするので、見直し・推敲は必須です。

*3:âč'âţmalaù「ドア」…… -č'-「出入口」よりも P1S2/FML -ňk- から作る方が建築物の要素に限定されるので具体的で良さそうだが、-č'- の派生で表現できると明記してあるのでそちらに従うべきか。困る。

*4:kdamxhaloptaú「トラップドア」…… 「ドア」だけど見た目はむしろ床だし「垂直出入りのドア」的な表現も厳しそうなので trapdoor の名を信用してこうしました。「言うほど捕獲のために使われてなくね」とか言わないで。

*5:uţmaçtaláuk「フェンス」…… どこに焦点を当てるか迷いました。防護の機能か、領地などの境界に使われることか、飛び越えられないことか、など。まあ無難なところです。ちなみに木のフェンスに対応する石造のブロックは「石の壁」ですが、これはフェンスよりも硬いし隙間が少なくて防護壁っぽいので -qt'- を使いたいです。

*6:eč'ál uţmaçte'tļáuk「フェンスゲート」…… これも微妙なところです。「ドア」「トラップドア」に比べてやや機能に重点を当てた表現です。一応「フェンス」部分に物質感はあるので許してほしい。「フェンス」は連ねて使われている想定なので SEG です。

*7:epʰast「葉」…… 葉ブロックは、同質な複数の同じ葉からなる塊(COH)です。

*8:opʰas「原木」…… IFL なので、板材とは違って立ち木から取ってきた一部という感じがします。

*9:opʰas ukfoutļaln「木」…… 難しい。そのまま「木」と呼ぶわけにもいかないが「覆われた」はこれで良いのか微妙。

*10:opʰas ukfëutļ「樹皮を剥いだ原木」…… こういうときに abessive(欠格) が便利。

*11:act'ál「板材」…… -ct'- は INF にすることで「中空の/外形だけの」を表せます。実際、原木から板材を作るときにアイテム数が4倍になることを考えると中空で間違いないでしょう。便利ですね。

*12:edyauçtalék「感圧板」……「圧力」はスルーです。まあ通じるでしょう。

*13:aksuct'aló「ハーフブロック」…… Cx と Cr を逆転させた「中空のキューブの1/2」か迷いましたが、語根が「板材」と同じ方がいい気がしたのでこちらにしました。

*14:語根 -tn- は 公式例文 では COH+PRX で使われているので1段で UNI なのでしょう。1個の階段ブロックは2段分ですが対をなすものではないので DPX にしない方がよさそうです。

*15:êltoļmalaù uxhtʰaxpourļó「吊り看板」…… 「鎖」は「輪の連なったもの」とします。

*16:opupʰioluttai Akakia「アカシアの」…… 語根になければとりあえず学名をラテン語読みで借用します。opupʰioluttai の部分では「竹」と同様の essive incorporation(と名付けておきます) を用います。

*17:「竹」は語根がありますが活用が -pʰ- と違うので、-pʰ- に Cx として埋め込んで強引に ňčʰwapʰalo「(woodとしての)竹」を作ります。

*18:「regexreplace を使って適当に処理して」…… 私は regexreplace を気に入っているため、 客観的に見て他により簡便な方法がある時や正規表現を使うべきでない時も regexreplace を使う傾向にあります。regexreplace・正規表現の乱用を許さない方はお帰りください。

*19:例えば「ハーフブロック」については、中空だと考えられるもの(木など)と、中実?だと考えられるもの(石など)で訳語を分ける必要があるため前者を「中空ハーフブロック」にしたりしています。